初ドイツ語プレゼン



スイスに来てから1年と2ヶ月、かなり遅くなってしまったんですが、私がお世話になっているロータリークラブで初のドイツ語でのプレゼンテーションをやってきました。今回のテーマは”Die Integration der Tradition in den neuen Lifestyle”、「伝統と新しい生活様式の融合」とでも言いましょうか、日本の伝統的な建築をどう新しいデザインに活かすか、私がスイスに来る前からひそかに温めてきたテーマをまとめて発表してみました。事例として、地元金沢の町家保存活動、大学のときに関わっていた新潟・栃尾の雁木、そしてもうひとつは新潟の斑鳩建築の作品を紹介しながら、伝統と新しいデザインの融合の可能性について考察してみました。
ドイツ語のプレゼンテーションは2ヶ月ほど前からコツコツと準備してきたのでサラッといけたのですが、あとの質問攻めにはかなりグダグダになって、英語混じりのドイツ語になってしまいました。でもいいディスカッションもできたのでオッケーにしときます。
プレゼンテーションを前にお寿司もいくつか準備したのですが、発表中の15分間で跡形も無くなってましたね。寿司でスイス人の心をがっちりつかめるのは日本人の得ですよね。
ずっとプレッシャーだったのでようやく肩の荷が下りた感じです。仕事もハリキッていきます。

FC BASEL



BaselのSt. Jakob-ParkでFC BaselとGrasshopperのゲームを見てきました。
驚いたのは観客席とフィールドの近さ。全く同じレベルで、トラックも無いのでかなり近くで見ることができます。これはいいですね。残念ながら、中田浩二はケガで欠場だったんですが、FCBも勝ったし、十分楽しめました。次はぜひ中田が出場する試合を見に行きたいですね。
一緒に見に行ったkumaは高専時代の後輩で、現在シュトゥットガルトに留学中。あんな田舎の学校にいたのに、5年後にお互いヨーロッパで勉強しているとは、まったく考えられなかったですね。久々にローカルトークもできて満足、満足。
Baselの街ではあちこちに仮設遊園地ができてました。街の一角に、観覧車とか、フリーフォールが出現してるわけです。Zurichにもありましたが、規模が3倍くらいになってました。あそこまでやれるのはスゴいですね。

初コンペ終了。




8月末から2ヶ月かけてやったe2aでの初仕事、住宅のコンペが終了。法規やスイス基準の設計に何度となく苦しめられましたが、最後の3週間は3人の強力な助っ人の協力もあって、良い形で終えることができました。
最終的には10戸、約1500m2のプロジェクトになりました。規模としてはほどよくコンパクト。全体的なコンセプトとしてもシンプルになりました。
ボスであるWim&Pietとは週に1、2回くらいのペースでミーティングをしていましたが、やはり時に重要な提案をしてくれるのはさすがでしたね。最後まで初頭のコンセプトのアイデアを貫く事ができたのは、彼らがその都度方向性をコントロールしてくれたおかげだと思います。日本で設計していた時に、建築家になるためには自分に足りないと感じていた部分を勉強させてもらっている気がします。
2週間後にプレゼンテーションがあって、その後結果発表。いいプロジェクトになったと思うので、ぜひ実現したい!ところですが、感覚としては五分五分ですかね。コンペに勝てそうな時はそれが分かるものですが、今回はそこまででもないような気もします。スイスでの初仕事なのでその辺の感覚も不確かですが。
果たして結果は!?

Peter Zumthor



Peter Zumthorの作品展を見にKunsthaus Bregenzに行ってきました。彼の作品集というものがなかなか手に入らないというのもあって、彼の20年間の仕事を図面や模型と一緒に見たのはこれが初めて。彼の建築の良さを知ることができた。
久しぶりにいい建築作品展を見た気がする。吉村順三作品展の時も図面の一つ一つが力強くて、多くのアイデアが詰まっていたけど、今回の作品展も模型、ドローイング、スケッチともに彼の独特のやり方を垣間みることができて、いつまでいても飽きないくらい中身が濃かった。間の2フロアのスクリーンも単なる建築作品のムービーではなくて、彼の建築の建ち方や住まわれ方を映し出していて、彼の建築へのアプローチの独創性をしめしていたように思う。
作品展は来年の1月20日まで。かなりお薦めです。
今日のボーデン湖もめちゃくちゃ気持ちよかったです。

Monza!


F1イタリアGPを見にモンツァに行ってきました!やっぱF1は生で見ると迫力が違う!耳がマジで痛い!そんな爆音とともに走り抜けるクルマたちはメチャクチャかっこいい!
それにしても、マクラーレンは桁外れに強かったね。来年は日本勢にもぜひチャンピオン争いに加わってもらって、その勇姿をまたモンツァで見たい!!

Learning From ADDIS


最終プレゼンが終わってからはや2ヶ月。旅行に行ったり、イベントに行ったり、バタバタしながらも、今学期のアディスアベバのプロジェクトが1冊の本として仕上がりました。その名も「Learning From ADDIS」。最初は100ページ前後で計画していたものの、やはり自分たちのプロジェクトの意味を伝えるには足りなかったようで、なんと300ページものボリュームになってしまいました(さすがに少し多すぎる気もしますが)。
ちなみに、完成して披露された後に、すぐにアシスタントからチェックが入り、いまだに作業をしているというのが本当のところなのですが。ただ、本をつくるプロセスの中で、自分たちが伝えたいことを再確認できたことは大きな収穫だったし、性格も価値観もバラバラな14人の成果をひとつのモノとしてまとめられたことはむしろ驚きです。

そして、これがアディスアベバでのプロセスをまとめたショートフィルムです。さすがにプロに手伝ってもらっただけあって、いい仕上がりになってました。メンバーの困惑した表情や、現地の人々の表情がしっかりと映し出されてます。自分のインタビューの部分もあるんですが、やっぱ、自分の英語って微妙だな。。。
これでETHのMASも終わり、メンバーもそれぞれの道へ旅立っていきました。
いろんな理由で僕だけあと1年残ることになるのですが、
やっぱり1年一緒に過ごしたメンバーと別れるのは寂しいものです。
僕も来週からチューリッヒの設計事務所でインターンです。
たくさん吸収したいと思います。

ロンドンでの再会


(AA PROJECTS REVIEW 2007)

(ZAHA HADID ARCHITECTURE AND DESIGN)


(Lords Media Centre, Future Systems)

(Waterloo)
 1週間ほどロンドンに行っていました。新潟で同じ研究室の先輩だったタケルさんとタケさんに会うことができました。タケルさんはロッテルダムのベルラーへで2年、ロンドンのfoaで1年、もう新潟を離れてから3年になる。タケさんはロンドンのUELで2年。2人とも新潟の時からとても個性の強い先輩に映っていたけれど、この数年の間に建築に対する考え方にそれぞれの環境の影響が感じられるようになっていた。
 日本にいた時は、数多いる建築家の中でどうやって自分のキャラクターを示すことができるのか全くわからなかったけれど、2人はすでに日本にはないタイプのデザイン論を身につけているように感じた。やはり留学は目的ではなく、自分のデザインを手に入れるための一つの手段であることを再確認した。僕がスイスに留学することを決めた時は「どんなデザインを身につけたいか」というイメージはそれほど明確ではなかったけれど、幸いなことにスイスにはかなり色の濃いスイスのスタイルがあって、それに染まってみることが自分の独自のスタイルにつながるのではないかと考えられるようになった。
 海外のデザインに染まるのか、それとも反発するのか、それはわからないけど、日本に帰った時に個性として発揮できるまでになっていればおもしろそうだ。2人の先輩の存在は自分のスイスでの経験を肯定してくれているように思えた。
 それにしても、新潟ではそれほど海外とつながるチャンスがなかったのにも関わらず、こうやって身近な先輩たちが自分の一歩前を歩いてくれているというのは、自分の刺激になるし、目の前の目標にもなっている。こういう環境が自分の周りにあることを感謝せずにはいられません。自分も生意気な後輩として、2人に迫る勢いを見せたいものです。
 ロンドンでの1週間はとてもいい経験になりました。お忙しいところ時間をつくってくれたタケルさん、ずっと一緒に行動してくれたタケさん、ありがとうございました。

Schrebergarten


 本日無事論文を提出しました。論文って言ってもたかだかA4・9ページなので、むしろレポート以下かもしれませんが。テーマは”COLLECITIVE URBAN SPACE”。ヨーロッパでは線路脇なんかによく見られる”Schrebergarten”(ドイツ語)を題材にしています。英語では”Allotment garden”、日本語ではシュレバー農園、市民農園とも呼ばれています。何も知らない僕みたいな日本人が見ると、スラムかホームレスか何かだと勘違いしてしまうこともありますが、この農園は家庭菜園の持てない都市部の人たちのために、土地を分割して安いお金で農園を貸し出すものなのですが、それがチューリッヒでは湖の眺めが最高な丘陵地とか、駅から徒歩数分の街のど真ん中に存在していることに疑問を持ったのです。
 しかしながら、個人の趣味の空間が集合して、都市空間に異様な存在感を与えているという現象は、マスタープランなどのトップダウン的な計画とはちがって、いわば日本で言う秋葉原のような、独自のルールと形態をもつHeterotopia(異空間)のように思えたのです。自分の生活一部や趣味の空間を主な生活空間とは分散して所有する時代ももう始まっていると思うのですが、そんな時に同じような性質の空間を集合させると異空間が生まれるのではないかと。魅力的な土地に高級ホテルか何かを誘致して一時的に経済を活発化させるよりも、異空間が魅力となって人の活動を生むほうが、縮小する時代に合っていると思えるのですが。
 もし興味のある人がいましたら、pdfで送りますのでご連絡ください。

LISBON, CASAGRANTURISMO


友人のRicardoに誘われ、LISBONに行ってきました。主な目的は2つ。LISBON ARCHITECTURE TRIENNALE 2007とRicardoがプロジェクトマネージャーを務めるcasagranturismoのプレゼンテーションに参加すること。ZurichからBaselを経由してLisbonに到着すると、そこは真夏、気温37度。Zurichが雨続きで気温15度くらいだったので、春から夏に飛んで来たような感じ。そしてLisbonの街は本当に美しかった。オレンジ色の屋根とポルトガルタイルが彩る町並みは正に感動的。ただ旧市街だけがそうなのではなくて、新しい部分にもちゃんと意識が行き届いているように思えたし、すぐそこに人々の生活も見る事ができて、すぐに惚れ込んでしまいました。

LISBON ARCHITECTURE TRIENNALEのメイン会場であるパビリオンへ。Alvaro Siza設計のパビリオンの大屋根はとても印象的。屋根下の空間もとても居心地がよかった。トリエンナーレの展示作品はテーマのUrban Voidに対するアプローチが明確でないものが多く、少し物足りない印象を受けました。その点、五十嵐太郎氏がキュレーターを務めた日本のスペースはしっかりとしたテーマをもっていて、非常に興味深い内容でしたが、どうもアカデミック感が強すぎるような気がしました。テーマが違うので比べるのは難しいですが、個人的にはVenice Biennaleの藤森さんみたいに建築としての力強さも表現してほしいと感じました。

CASAGRANTURISMOのプレス発表でLisbonのCentro Cultural de Belemへ。さすがにいつもラフな格好のRicardoもプロフェッショナルの顔をしてました。若干28歳にして海外から建築家を招待してプロジェクトを実現させてるなんて、自分にとってもかなり刺激になりますね。今回来ていた建築家は、Gonçalo Byrne, BowWow, Njiric, Randic, Dekleva&Gregoric, Feld72, No45, PVeなど、各地で活躍している若手の建築家。それぞれの建築家がテーマであるTourismからデザインのアイデアを生み出していたのがおもしろい。プロジェクト自体が単なるハウジングのプロジェクトではなくTourismというテーマを持っていて、アイデアのシンクタンクとしても機能しているところはさすが。

次の日はプロジェクトの敷地であるポルトガル南部に位置するSilvesへ移動。市民へのレクチャーとプロジェクトのプレゼンテーション。Atelier Bow-WowはRicardoから午前中にレクチャーを依頼されて、午後にはまるで前から準備してたかのように上海やガエハウスをプレゼンテーションしてしまうあたり、さすが百戦錬磨というか、作品のアイデアを共有できる段階(アイデア自体、プレゼンテーション共に)にまで持って行っていることに凄みを感じた。他の建築家も同様に、デザインの見せ方を知っているし、説得力を持っている。このプロセスは今の時代の建築家として不可欠な要素だと思う。
次の日のマスタープランと個々のデザインのディスカッションも含めて、ほぼ3日間まるまる建築家の皆さんと帯同できて、いろいろな話を聞く事ができたし、Urban designやLandscape designの実践をみる事もできたので、ホントにRicardoに感謝。28歳になる頃には自分もバリバリやれるようになっていたいですね。

残った時間で、リスボン近郊のAIRES MATEUSの建築を見たり、CASCAISに行ったり、建築学生らしいマニアックな旅も忘れず。CASAGRANTURISMOのプロジェクトが完成したら、今回行けなかったPortoも含めて、また見に来たいですね。

URBAN PROTOTYPING


大学のほうも一段落したということで、Sebastianとウィーンに行ってきました。今回のお目当てはUniversity of Applied Arts Vienna主催のイベント「Urban Prototyping Conference」(公式サイトはこちら)。参加した建築家も若手が揃っていて最近の動向が知りたかったし、1988年の”Deconstructivist Architecture”のキュレーター、Vollume Magazineの創始者として知られるMarc Wigley氏の講演が聞けるということで即決しました。
印象に残ったのはBIGのプロジェクト。投資の力を意識したデザインと、メディアを駆使した戦略が若手建築家の勢いを感じさせてくれました。今年からUCLAのChairをもった阿部仁史氏のプレゼンテーションは全く建築作品は紹介されませんでしたが、むしろUrban Protyping として議論されるべき内容だったと思います。東京のマンガ喫茶やカプセルホテル、コンビニなど、都市が住居の一部になっている現象を非常にうまく説明されていました。隣で聞いていたSebastianは「お前らは狂ってる!!」って言ってましたが。。。
Mark Wigley氏はその建築家たちのプレゼンテーションを総括した内容。PROTOTYPEは同じようなものを量産する際に用いられるものだったが、違いをつくるものとして存在していると主張していました。なるほど、日本でも建築計画はある建築の標準形、いわゆるプロトタイプをつくる学問として存在していたわけですが、現在は異なる条件でのケーススタディを集積・分析する学問となっているのもそれに近い気がしました。プロトタイプはデザインの裾野を広げるものとして蓄積することには意味がありそうな気がしました。

同時に展示もスタートしたらしく、同大学の作品を見学。形態操作がやはり独特です。ETHのスイスボックス一色とはまるで正反対に見えますね。

TUWienで木質構造デザインの授業をもっておられる網野先生とも1年ぶりにお会いしました。ちょうど担当されているコースの講評会をやっていて、運良く学生たちの作品もみる事が出来ました。

最終日はちょっと遠出をしてスロバキアの首都Bratislavaへ。遠出といってもウィーンから1時間。1993年にチェコスロバキアから独立し、首都となったBratislavaはドナウ川が流れる人口40万人ほどの中都市。天気もよく、ぼーっと過ごすには最高でした。街の中を歩いてみると、奇妙な形の建物を発見。メタボリズムかと思ったら建てられたのが1926年ということで、ロシア構成主義に近いのかもしれない。でもどうしてもこの形態を支持する気にはなれなかった。ちょっと文脈が知りたい。
奇妙だったのはそれだけじゃなくて、街に人がいないこと。道路は広いのに、クルマがない。広い公園があるのに、人がいない。日曜だからっていうのを考慮しても、街の中心部で人がいるのが旧市街だけっていうのは本当に気持ち悪かった。その後川沿いに戻って人々も見られるようになったが、その空虚感が不思議だった。