4th IABR ロッテルダム国際建築ビエンナーレ


NAi, main exhibition
4th IABR / ロッテルダム国際建築ビエンナーレのオープニングへ。今回のテーマは「Open City: Design Coexisting」。キュレーターのKees Christiaanse はこのOpen Cityというテーマについてこう答えている。
(…) an Open City is a place where different social groups co-exist, cultural diversity is present, differences in scale are visible, and urban innovation and probably economic development are taking place. When all these factors come together, it can have a positive effect. We can then speak of an Open City.
Open City is not a city; it is a condition of a part of the city. The word ‘condition’ indicates that the situation is finite, that the situation changes owing to other influences. And I’m only talking about parts of the city because it’s an illusion to think that the whole city can be designed as an Open City, or that this can be engineered. Usually for political reasons, every city contains areas that are potentially open, and other areas that will never be open.
- Kees Christiaanse
世界の人口の半分が都市に住む時代。40年後には都市人口は75%にものぼると言われている。都市には異なる人種、バックグラウンドをもった人たちが必然と集まり、彼らの活動が都市を形成していく。これまでの都市のあり方とは、そのようなインフォーマルな活動を規制し、制御しようとするものだった。しかし成熟した都市はすでに成長を止め、アジア、南米、アフリカの成長に寄生することによって、その形態を維持しているにすぎない。もはや都市のほとんどが移民によって構成されようとしている現代の都市は、その異種的、異文化的な活動と共存する都市であるべきではないか、これがOpen Cityの考え方である。
実はこのビエンナーレが成し遂げようとしているの最大の目的は、世界中の建築家、アーバニスト、そしてコミュニティのネットワークを作り上げることなのかもしれない。アジア・南米・アフリカの建築家、コミュニティはすさまじい速度で成長し続ける都市と格闘し、欧米の建築家、研究者も次々と現地に入り込み、都市リサーチやワークショップをおこなっている。そのネットワークを形成し、知識を共有する仕組みが必要とされている。バングラディシュの「マイクロクレジット制度」がすでに世界的に行われるなったように、ひとつの貴重なアイデアを共有することによって、何百万人もの人々が救われるのである。
ビエンナーレの展示自体はただの目次を読んでいるだけにすぎない。その奥には世界の建築家、アーバンデザイナー、研究者、そして現地の住民が、現代の都市がつくりあげる状況と格闘してきた、莫大な知識と、いまだ残された多くの課題が記されているのである。我々はビエンナーレというインターフェースを経由して、奥に広がる情報網にアクセスすることができる。このビエンナーレを起点として今後築かれるであろうネットワークは、今後直面する都市問題を解決するヒントになるに違いない。
Photos below

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カワギシツアーズ。

大学時代の同期のケンタロウとアキちゃんが連休を利用してスイスに遊びに来てくれました。休みをとるはずがなんだかんだ仕事に追われ、結局週末のみになってしまいました。ホントに申し訳ありません。

St. Moritzで合流し、まずはChurへ。博物館で鍵を借りてRoman shelterへ。カギなんてかりなきゃいけないの?と驚く二人。

今回はとてもいい感じで光が入っていました。まあ、いつもそうですが。ドイツ語の解説はじめて読みました。紀元後1-4世紀の遺跡だそうです。

Churの街のメインストリートでは陸上のトラックが設置され、短距離走の大会が開催されていました。こんなところで走るのは、気持ち良さそうです。それにしても、このトラックの設置は大変だっただろうなー。

天気もよかったのでValsの予約を少し遅らせ、Haldensteinへ。Peter Zumthorの自宅とアトリエを外から眺める。いつか中に入れてもらいたい。

その後Therme Valsへ。ここは何度来てもいいです。夕方に行って夜までいたのは初めて。自然光から照明へ内部の見え方が時間ごとに変わっていくのを見ることができた。個人的には自然光のほうが好きですが。ところどころでいちゃつくカップルに反応する2人。オレはもう慣れちゃったみたいです。むしろ凝視してやります。夜はVals泊。3人でバンビのお肉をいただく。

ツアーの最後は5年ぶりのSt. Benedetg。Sumvitzから歩くこと約1時間。今回は天候にも恵まれました。雪をかぶったアルプスの山々が背景です。ホテルの朝食のときにつくったサンドイッチをいただく。チーズとサラミがうまいのなんの。

内部も光が綺麗でした。4年前に来た時は曇ってたからな。小さいけれどもいろんな工夫が詰まった建築です。

というわけで、たった2日間のツアーになってしまいましたが、楽しんでもらえたようでよかったです。スイスまで来てくれてありがとう。

Creative City International Conference in Yokohama


今週末、横浜でクリエイティブシティ国際会議が行われます。川岸のボスであるKees Christiaanseもパネリストとして出席する予定です。プログラムはこちら
アーバンデザインの実績をもった専門家たちによるディスカッションは魅力的です。
Kees ChristiaanseはKCAPのプロジェクトであるロンドンオリンピックのレガシープラン、ハンブルクのハーフェンシティ等のウォーターフロントのマスタープラニングについて紹介するのではないかと思います。もちろん、今月末に開幕するロッテルダム建築ビエンナーレのことも紹介すると思います。非常におもしろそうですね。
それにしても、この豪華ゲストは、さすがに日本の都市計画、アーバンデザインを牽引する横浜だからこそだと思います。これをきっかけに、日本でもアーバンデザインやマスタープランニングの考え方が少しでも広がってもらえればいいですね。
どなたか、もし行かれる方がいましたら、ぜひ感想をお聞かせください。

Schaffauserrheinweg


BaselのKinderspitalの跡地のためのコンペのエキシビションへ。29の作品が展示されています。KCAPでの担当プロジェクトだったのですが、惜しくも6. Preisでした。結果はこんな感じです。
1. Jessen Vollenweider
2. Fischer + Lo
3. Christ en Gantenbijn
4. sab Architekten
5. Darlington Meier
6. KCAP
7. Michael Meier Marius Hug
8. Burckhardt + Partner
9. Steinmann & Schmid

KCAPの案は、都市のコンテクストを重視し、ライン川への眺望を最大限の魅力とするための配置を選びました。要求を読み取ってプログラムを組み立て、問題を解決している意味では、ある程度の完成度には達している感じはありましたが、やはりコンペに勝つにはアイデアの力強さや新しさが足りていなかったのかもしれません。

こちらがJessen Vollenweidernによる勝利案。三角形のヴォリュームを配置して外部空間を緩やかに定義しつつ、効率の良い住居空間を提案しています。

それにしても、スイスでもこういう案が選ばれるとは意外でした。ETHの新しい学生寮のコンペもそうでしたが、スイス=ボックス的な考え方は、もはや薄れていっているのかもしれません。

Piuskirche, Franz Fueeg








Piuskirche/Theresienkapelle, meggen
Architect: Franz Füeg, 1960-66

Verkehrshaus der Schweiz, Gigon/Guyer


Gigon/GuyerのVerkehrshaus der Schweiz (スイス交通(乗り物?)博物館というところでしょうか。)の見学会のためにLuzernへ。http://www.verkehrshaus.ch/

1999年に行われたコンペで彼らが選ばれ、エントランスビルディングとホール、そしてS-Bahnのプラットフォームをデザインしています。

エントランスビルディングのファサード。壁内に組み込まれたホイールが印象的。



交通博物館ということで、内部には古いものから最新のものまで乗り物だらけ。乗って公道にでることもできるみたいです。

内部のレセプション。

1階はレセプションとショップ、レストラン。2階が展示室になっている。

3階ホワイエに付属しているバルコニー部分からファサードの裏側が見える。見た限りでは内部から外観のホイールが透けて見える部分はここだけ。もう少しあってもおもしろそう。

中央のオープンスペース。

既存部分に新しい建物を挿入して、囲われた感じのオープンスペースを創っているところが成功しているように思う。

ホールのファサード。道路標識はリサイクルというわけではないようです。道路標識がすでにブランド化しているからか、その集積としてのファサードはすでにオブジェクト性の高いもののように見える。



ホール内部。立体的に自動車が展示されていて、番号を選ぶとリフトが自動的に動いて自動車を持ってくる仕組み。自動販売機みたいでおもしろい。


最後に、事務所主催のアペロにあった食器が面白かったので撮影。

Ronchamp, Mulhouse, Basel



Notre Dame du Haut, Romchamp
Le Corbusier, 1955
雨が降ってもまた良い建築です。上から撮った写真のポストカードを発見。なかなか見ないアングルだけどこれがまたおもしろい。周辺にRenzo Pianoの設計の施設が計画されているようです。


ILOT SCHOETTLÉ HOUSING, Mulhouse
Lacaton & Vassal, 2005
ビニルハウスのような輪郭が印象的。1層目にコンクリート部分に予算をかけて2層目を金属フレームの軽構造にした結果、半外部的な空間が魅力的に仕上がっている。


Wohnhaus Schwarzpark, Basel
Miller & Maranta, 2004
シンプルなグリッドのストラクチャーと、ロッジア部分のレイヤーが組み合わさってできる凹凸がファサードを魅力的に見せる。シンプルに見せるためによく考えられている。

Warteck-Hof, Basel
Diener & Diener, 1996
Dienerの作品はいつも単純なように見えるけど、このプロポーションを実現するのはそう簡単にはいかないはず。レンガの使い方も参考になります。


St. Jakob Turm, Basel
Herzog & de Meuron, 2008
ZurichからBaselに向かうと最初に見えてくるアイコン的な作品。プラダ青山のプロポーションを想像させる。スタジアムの中からも尖った形が見える。

Greece


イースターの休暇を利用して、ギリシアへ行ってきました。スイスに来て以来、なぜかギリシア人と縁があるようで友人も多いのですが、彼らの故郷をぜひ見てみたいと思い立ち、5日間のショートトリップに出かけたのでした。
ギリシア人の友人にガイドしてもらいながら、アテネから南西へ70km、半島の最南端に位置するCape Sounionへ。このあたりのランドスケープは山の木々も背が低くまばらで、エチオピアの山を思い出しました。穏やかな海に多くの島が浮かぶ景色は最高です。

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Chriesimatt, Baar / Graber Pulver Architects


Zurichの若手建築家、Graber Pulver Architectsで働く友人に誘われ、彼らのプロジェクトの見学会へ。パートナーのMarco GraverとThomas Pulverはともに1962年生まれで、チューリッヒの若手建築家として注目されています。2006年から2008年まではETHZで客員教授を務め、ETHZで作品展も行われ、活躍が期待されている建築家です。
今回のプロジェクトは、Zurichから鉄道で15分ほどのところにあるBaarという街。敷地は街のはずれの周辺の山が見渡せるところで、9棟からなる集合住宅のうち、第1期の4棟の見学会でした。

ヴォリュームは全体として2本のラインが見えるように考えられていて、それが切られるように棟が分割されている。切られた面は打ち放し仕上げで、その意図が読み取れ
る。地形に合わせて、敷地の北側から南側にかけて徐々に高さが低くなるように設計されている。

ファサードで印象的なのは窓の配置と色づかい。ランダムに見える開口部は3タイプの窓とロッジアの組み合わせによって構成されているそうです。開口部のタイプの違いに合わせて3色を使い分けている。

住戸内部。ロッジアに面したリビングルーム。スラッとしたお兄さんたちがよくハマっています。

ロッジア(屋上テラス)とリビングルームが連続して配置され、とても広く感じます。ロッジアの屋根は締めて半内部の空間としてもつかえます。

敷地の高低差を利用して設計された天井の高いフラット。ちょうどヴォリュームの屈折するところなので平面も台形。20-30代には合うかもしれない。

東側のテラスに差し込む午後の光。綺麗ではあるのだけれど、外壁のレイヤーからくる制約で壁が多くなるためか、東側のテラスは少し暗い印象。もちろんプライバシーの問題もあるかもしれないけれど、テラスの部分はもう少し開口の面積を増やしてもいいような気も。もちろん外観の統一感も重要ですが。
後でもう少し設計意図について友人に聞きました。いや〜、勉強になります。もう随分事務所も大きくなっているようです。
ちなみに2期までは少し時間が置かれるそうです。周辺も新しい住宅が建設されていたので、この4棟とランドスケープ、そして周辺と合わせて、エリアとしていい印象を与えられれば、2期は売値を高く設定できるかもしれないですね。景色もいいし、ポテンシャルは高そうです。どう進んでいくか今後も楽しみです。

Fasnacht Chur


グラウビュンデン州にあるChurで一年に一回開催されているFasnachtへ。いわゆるカーニバルというやつで、いつもはのどかな街がすごい賑わいを見せる日です。それにしても見渡す限りのコスプレでした。

深夜を過ぎるとコスプレのままナイトクラブへ。もう誰がどれだかわかりません。そしてやっぱりおもしろいコスチュームには目がいくものですね。来年は日本からコスチュームを仕入れて参加したいと思います。

そのままの勢いでArosaでスキーしてきました。さすがにスイスでも最大規模のスキー場だけあって、気持ちよく滑れて、かなり満足できました。仕事も建築も大事だけど、スイスにいたら、スキーは欠かせません。