Zürichから鉄道で2時間ほど行き、Faidoでバスに乗り換え、Giornico S. Antonio下車。ETHZürichの教授であるPeter Märkliの代表作、La Congiuntaへ。鍵はバス停近くのカフェで借りる(またもやこの手か)。今回は先に到着したコムさん一行が借りてくれてたので、早速美術館へ。この美術館はHans Josephsohnの彫刻作品を飾るための空間。外観はまるでコンクリートのmass。彫刻みたい。開口部は上部にあるだけなので、壁の存在感が非常に強く感じられる。入り口はアプローチの反対側にあって、入るまでの時間差が内部への興味を湧かせる。内部へ。意外に明るい。もっと重厚な空間を予想したが季節のせいかそれほどでもなく、それほど劇的には感じられなかった。ハイサイドから入ってくる光がコンクリートに映える。高さの違う3つの大きな展示室には基本的にそれぞれ違う種類の彫刻が飾られていて、彫刻の特徴に合わせたようにも感じられる。展示室をつなぐ開口部はコンクリートを切り取ったようなシンプルでエッジの効いた仕上げ。余計な装飾やプログラムは一切なく、「どうだ、いい空間だろう?」と言わんばかりのミニマルさ。小細工をせず、余計なお金をかけたふうでもなく、マテリアルと空間がそこにあるだけのような静かな力強さを持っている。村自体が崖を切り崩したような谷にあり、建物の存在感は自然と対峙しているようにも見える。派手ではないが、なかなか作れる空間じゃない。
左が鍵を借りたカフェ。店の人も慣れたもんです。時間があったのでGiornico街を散歩してみる。石積みの町並みが印象的。それにしても、橋がスゲーきれいで、この風景によく合うね。まあ、ちょっと街の外に出れば、そこには郊外型の住宅もちらほら見られるわけで、街の人たちの努力のおかげでこの景観が保存されているんでしょう。街の上にある石積みの教会もいい迫力を感じさせてくれました。
再びバスに乗ってBellinzonaへ。街の中央部に位置するCastel Grandeへ。12~13世紀に建設された要塞都市の中枢部分。南側に長くのびる壁はmurata(ムラタ?)と呼ばれている。なぜか日本的な感じがしてしまった。。。近年Aurelio Galfettiという建築家によって改修され、エレベーターとmuseum部分ができたみたい。museumの外壁(写真右)はまたもやミニマルさを感じさせる壁の存在感がすばらしい。ミニマルさは壁の素材感、時間性やオブジェクトそのものを見せるために有効な手段のように思う。もちろん、もの自体が一番重要であることに変わりはないのだが。残念ながら内部は昼は見られず。改修としてもVeronaにあるCastelvecchioを思わせる質の高さ。ただ、museumの空間は古い空間を活かしきれていない。展示の内容、展示方法が問題のような気もする。天気が最高に良く、心地の良い時間を過ごさせてもらいました。
memo
“La Congiunta”
Architect: Peter Märkli, 1989-1992
Address: Giornico, Ticino
“Castel Grande”
Architect: Aurelio Galfetti, Restauration, 1985-1991
Address: Bellinzona, Ticino
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