Zurichから鉄道で1時間ほどでChurへ。今回はETH同期のコムさんに連れられ、ちょっと田舎のFlimsへ。お目当てはValerio Olgiati設計の”Das Gelbe Haus”(Yellow House)。もともと黄色の建物を改修したのでこういう名前がつけられているらしい。現在内部はギャラリーとして使われていて、ちょうどChurを中心とするグラウビュンデン地方の建築がテーマになっていた。ひととおり見ていると、家型の印象が強い。屋根と壁の境界を隠し、家型のMassとして表現して、そこにシンプルな開口部をVoidとして空けるというのがスタイルらしい。ここまでくると、別に家型じゃないくてもいいのでは?とも思えるが、きっと家型であること自体がイメージとして意味を持っているんじゃないかな。同時に素材をシンプルに使うからシルエット自体が印象として残る。Gelbe Hausは屋根を見せないようにして、むしろMassとVoidと素材感を感じさせるオブジェクトみたいな印象。
この地域は、Valerioの父親であるRudolf Olgiatiが活躍したところで、彼の作品もいくつか見る事ができる。画像は”Apartmenthaus Las Caglias”と近くの住宅。妻側の壁を屋根よりも高くして、やはり家型を強調させている(彼の場合は完全家型ではなくて組み合わせ)。ふと、Robert Venturiの家を思い出して、ポストモダンの意味性を含んでいるんじゃないかと考える。彼の表現の特徴は面の使い方。開口部の奥行きが3パターンくらいあって、その組み合わせでレイヤーを構成している。きっと内部空間のキャラクターとも関係があるのでは。外壁の上に屋根が載っているという構成ではなく、外壁を延ばして家型を強調したときに、面の操作という関心が生まれたんじゃないか。そしてその操作はとても感覚的に見えるが、内部との関係も考えられているとしたらおもしろい。
Churに戻って、Peter Zumthor設計の”Roman Excavations”へ。前回入れなかったのであきらめていたら、Churで働いているナイトウさんがMuseumで鍵を借りて入ることを教えてくれ、無事に内部へ。内部のトップライトからの光は絶妙。外壁はルーバーみたいになっているので、外からも光が入る。夏は緑色に見えるらしい。ローマ時代の遺跡を残すためのシェルターということもあって、建物自体はすごく軽い感じがする。
同じくChurで働いているシミズくんも呼んで、事務所の仕事などについて聞いてみる。やっぱりここの人たちはこの地方が好きらしい。夏は事務所みんなで山にハイキングにいくんだって。そういう設計事務所って日本にあるんでしょうか?
memo
“Das Gelbe Haus”
Architect: Valerio Olgiati, 1997
Address: Flims Dorf
“Apartmenthaus Las Caglias”
Architect: Rudolf Olgiati, 1960
Address: Flims-Waldhaus
“Roman Excavations”
Architect: Peter Zumthor, 1985-86
Address: Seilerbahnweg, Chur
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