Final Reviews in Winter Semester


 Winter Semesterのファイナルレビューが終わりました。どうだったかと言いますと、上の写真の僕とProf. Angelilの表情からもおわかりのように、久しぶりの不発でした。なんというか、ミスった。結果的にはいろいろ詰め込みすぎて、複雑になったおかげで、ストレートに伝わらなかったんですよね。後になってみて見れば当然の結果かなと、自分でも思えたけどね。初めてたくさんのスケールを扱って、分析もして、建築のデザインまでやったけど、やはり人にプレゼンする時は、一番言いたい事をストレートに、が基本なんですよね。久しぶりに痛いプレゼンテーションになってしまったわけですが、最近調子に乗ってた罰だと思って、この失敗は必ず次回に活かしたいです。
 さて、今回の課題ではそれぞれのチームが異なる考え方や建築の知識や価値観をもっていたこともあって、結果的にとても多彩なプロジェクトになりました(もちろん、最初に与えられたテーマが大きく影響していることは確かですが)。これはすごく面白くて、課題や敷地は一緒なんですが、もはや違う課題と思えるくらいにかけ離れてるんですよね。レビューもそれぞれ全く違う視点からのコメントになっていたので、都市と建築のデザインを考える上で、学べる部分が多かったように思います。簡単に紹介を(写真だけじゃわからないかもしれませんが)。

Theme:Slowmotion, Team:Theano(Greece)、川岸(Japan)
 テーマはスピードを操作しながら、いかに建築やランドスケープをデザインできるか。地形や素材、用途などの組み合わせによってさまざまなスピード感をもった異空間(Heterotopia)をつくり、通過するルートによって異なるスピードを選択できるようなデザインを目指した。外部空間を優先的にデザインし、建築も外部空間の性質を定義する垂直方向のランドスケープとして配置していく。建築は両サイドの外部空間に面するのが特徴。外部の影響を受けて形態が決定される。

Theme:Temporarity, Team:Cristine(Germany), Sebastian(Costa Rica)
 テーマは時間。敷地近くのエリアからのランドスケープからのグリッド状のサンプリングによってさまざまな空間の集積を作っている。印象としてはテーマパークに近く、それぞれの空間が異なるテーマによって成り立っている。時間という点では多様性以外はそれほど新しい部分は感じられないが、ディベロッパーの視点からは、プロジェクトのイメージを与えやすい特徴がある。さすが事務所での経験豊富な二人。

Theme:mobility, Team:Ha(Vietnam), Fei(China)
 テーマはモビリティ。湖沿岸にアクティビティを配置し、それをプロムナードで連結する都市レベルのケーススタディから、その一部分を敷地に当てはめた。建築はプロムナードが隆起した下部に配置される。ランドスケープ出身ということもあって、都市スケールの計画はすばらしいが、敷地のゾーニングや建築の形態との関係があいまいであることが残念。

Theme:Leisure, Team:Daphne(Greece), Imke(Germany)
 テーマのレジャーという一時性、多様性から、TopicとToposの関係をデザインしている。湖沿岸の洪水の可能性を示し、敷地周辺からの読み込みによって、Topicの配置を決定している。たとえば洪水の可能性がある場所には一時的なTopicを、丘になって浸水の危険性がなく、アルプスを望める場所には住居というTopicなど。洪水のリスクによって開発されない部分のポテンシャルに注目している点はGood。具体的なTopicが見られないのと、建築形態への影響が提案されないのが残念。

Theme:Prosthesis, Team:Matthew(US), Andreas(Swiss)
 テーマはProsthesis(不足を補う人工的な道具。義足、入れ歯など)。既存のキャナルをつなげてアイランドをつくり、そこにプラザと呼ばれる広場やマリーナを設ける。高齢者やテーマについての考えは最終的ににどっかへいってしまったが、さすがは経験豊富な二人。ディベロッパーが要求しているウォーターフロントの魅力を最大限に引き出した。アイランドをつくる水の使い方は最も現実的で魅力的。

Theme:arcadia, Team:Iva(Croatia), Krishnan(India)
 テーマは理想郷といったところでしょうか。ディベロッパーの開発が建築だけじゃなくて、イメージの提供にも及んでいることに着目し、既存の観光マップに敷地部分のアクティビティを付加した新しいイメージマップを作成。敷地内はこの地域のイメージを象徴するForest, Hill, Mountainという3つのゾーンから成る。特にHill, Mountainの空間は外部空間と内部空間が絡みながら全体の形態を成していて、建築空間としては最もおもしろい。現代では建築の質が利益を生むとは限らず、イメージがいかに利益に影響しているかをアイロニカルに示すプロジェクトでもある。

Theme:disability, Team:Dimitra(Greece), Sebastian(Germany)
 テーマは不自由さ。不自由を補うある一定のルールの下では普通に生活できるはず、という考え方。しかし建築形態までにはたどり着かなかったようで、建築にはLe Corbusierの理論を取り入れている、らしいが、理解できず。結局のところ、パブリックとプライベートな空間を共用空間で使い分けてるらしい。Prof.Angelilは彼らのハンドドローイングに注目して、その表現をテーマにもつなげようとしたみたいだったが、最終的にはつながらなかった。
簡単に説明するとこんな感じだったわけですが、僕にとっては同時に多くの都市的な手法を見る事ができた点では収穫が多かったような気がします。しかし、最終的に都市スケールから建築スケールまでシンプルにつなげられたプロジェクトはなかったように思います。やはり難しいみたいですね。僕らのプロジェクトはやっぱり都市スケールのほうが薄かった。建築自体のプログラムよりもランドスケープを含めたゾーニングのほうがやはり力をもってしまうような気がしましたね。次のセメスターはエチオピアのプロジェクトになります。しっかり大きなスケールのデザインも身につけて、シンプルな提案を目指したいと思います。

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