(画像:中間講評後のスタジオの様子)
セメスターが始まってはや2ヶ月。ついに今日エチオピアに向けて出発、首都のAddis Ababaに5日間ほど滞在する予定です。これまでは環境がまったく違う場所でのアーバンデザインに四苦八苦してきました。ここ10年ほどで人口が約2倍、住居の80%が違法、マスタープランはよく計画されているけど実行されない、という、日本やスイスとはかけ離れた都市のなかで、状況を体験しないまま計画する難しさを実感しました。
そこで気がついたことは、そのカオス的な状況の中にはいろんな可能性が潜んでいるということ。エチオピアのような発展途上国の都市は日本のような先進国に比べて劣っていると考えるのは容易いが、資本の流入、情報技術の発展等の影響で、都市が成長するスピードは日本の経済成長時の数倍にも感じられる。いわば日本が成長過程で歩いてきた階段を3段飛ばしくらいで駆け上がっているわけだ。するとそこには、むしろ日本が学ぶべき新しい都市の形態があるかもしれない。例えば、携帯電話。日本では固定電話→携帯電話と発展したわけだが、エチオピアでは固定電話がないままに携帯電話が定着しつつある。物理的な電話線網をつくるよりも電波圏をつくるほうが効率がいいためだ。都市が無秩序に発展していて、住所も郵便制度も定着していないから、携帯電話登録で管理するという思索もあるほどだ。
住宅も興味深い。現在の標準的な住宅は、日本の建て売りのようなメインの家に、もう一つ小さな家も建てられる。公式では小さなほうはメイドの家となっているが、実は他の人に貸し出されている。さらに店舗などの用途で貸し出すために拡張も行われるわけだが、なんと週末に一気に建設してしまうらしい。もちろん違法だが、住民は「建てちゃった」的な態度をとり、管理側も都市の密度を上げるという意味から暗に容認している。この無秩序性が都市に活気を与えている事も確かのようだ。
エチオピアにあるのは、経済成長段階の日本のイメージではなく、まったく新しい都市の可能性ではないかと期待しています。都市を体験して、現地の学生やディベロッパーにプレゼンして、自分たちの計画案にどのような変化が起こるか楽しみです。
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