Serpentine Gallery Pavilion 2009 / SANAA

1ヶ月ほど前に行った、SANAAによるSerpentine Gallery Pavilion。







鏡という効果は、不思議なものだ。一般的に鏡を壁面に配置すると視覚的に空間が広く感じられる。それが天井面に使われ、周りの緑を映し出すと、天井の存在感がきわめて薄く感じられた。林立する柱のあいだに立っていると、森の中にいるような感覚を覚える。
石上純也のKAIT工房でも柱のランダムさから似たような感覚を覚えたが、あくまでメタファー的な理解であって、SANAAのこの感覚はもうすこし経験的なリアリティをもった森に近づいている。
屋根の厚みは約20mm。柱も平均して直径50mmほど。全体として透明感が極めて高い。同じ構造体をガラスで作るよりも存在感は薄くなっている。

Gigon / Guyer, Goldschlaegi / Erlenhof

Gigon / Guyerの新しい住宅のオープンハウスへ。今回はチューリッヒ近郊の2つの集合住宅の見学会。
Wohnueberbauung Goldschlaegi, Schlieren
105 apartments
GF 16693 m2
cost 31.1 mio. CHF

Schlierenの駅から見えるのはいつものGigon/Guyerスタイルです。


ところが反対側はブルーを効果的につかったインパクトの強いファサード。この色は前にマイアミビーチに言ったときに見たような。とにかくスイスでは珍しい。

建物の奥行きは約9m。鉄道からの騒音のある線路側に水回りを配置し、反対側に寝室を配置しています。

材料はアクリルです。

内部。少し狭い印象はあります。

屋上の住戸には屋上テラスにフォリーが設けられていて、気持ち良い空間に仕上がっています。この住戸117m2の家賃がおよそ3000CHF/月です。これだけ払うならもう少しおもしろい住まい方をしたいところでしょうか。個人的にはプランが少し物足りない感じです。
Wohnbaugenossenschaft Blumenrain, Zurich
85 Apartments (55 for rent, 30 for ownership)
GF 19000 m2
Cost 31 mio. CHF

もうひとつもチューリッヒ近郊のWietikonにあり、今度は密度の高い中庭タイプ。これだけのヴォリュームが緑に塗られると、迫力あります。

中庭側のファサードは白。

模型。イエ型のエレベーションに合わせて、それぞれの平面もイエ型。

1階はプラットフォームの広場になっていて、その下に駐車場が設けられています。

最上階は勾配天井で最高で5mくらいの高さ。

住戸プランが入り組んでいるので、このような長い廊下もありますが、トップライトの効果もあってあまり気になりません。

西向きの角の部屋。ここまでくると高さもしっくりきます。

住戸プラン。Gigon/Guyer得意のロッジアです。
個人的には1つめのプロジェクトよりも2つめのほうが全体的に彼ららしさが出ている作品ではないかと思います。
ちなみに、1つめはMike Guyer, 2つめはAnnette Gigonが主に担当したそうです。やっぱりそれぞれ色はでるものですね。

海外への憧れを経て

建築家・藤村龍至氏がこんな記事を書いています。
(…)留学するまでは「海外で働く」ということに漠然とした憧れがありました。学部3年生の頃、とある国際ワークショップに参加したことがきっかけで英語でコミュニケーションすることの楽しさに目覚め(ありがちですが)、バイトして貯金しては海外に行く、という日々を過ごし、英語もどんどん覚えることができました。
他方、留学している当時OMAにあった伊東事務所にバイトに通わせてもらっていたので、OMAのCCTVチームで怒号を飛ばして仕切っている重松さんや、毎日明け方まで働き、早朝出て行く白井さんを横で見ていて、インターナショナルなチームのなかでバリバリ働いている本当の意味で「国際的な」活躍をしている日本人に憧れる一方で、そういう環境に立つことの難しさも悟らされました。
重松さんのように帰国子女で英語が全く不自由しないか、白井さんのようにまとまった実務経験がある人もいるが、そのどちらもない自分がそのまま就職を試みてかたちとして「海外で働く」ということになっても、単なるCG係、もしくは模型係となってワークショップの片隅で黙々とヒートカッターの技を披露するだけなのではないかと。(続く。。。)
Roundabout journal http://www.round-about.org/2009/09/post_114.html
スイスに来てから3年が過ぎ、一流と言われる大学に留学し、海外設計事務所で実務を経験して、果たして自分が「国際的」になっているかと問われたら、ノーと答えると思う。国際的になっているというよりは、普通のスイス人に近づいている、という表現のほうがきっと正しい。日本で何の実績も持っていない自分は、日本人であるということ以外、スイス人にとって特別ではないからだ。
Patrick Blancというボタニストをご存知だろうか。彼はバーティカル・ガーデンをつくることで有名で、金沢21世紀美術館、パリのQuai Branly Museum、マドリッドのCaixa Forumと、世界各国の有名建築家が彼とのコラボレーションを求めている。彼のように、彼にしかできないと皆が認めてはじめて、エキサイティングな「国際的」恊働が可能になるのだと思う。
留学して、実務経験を経て、広がった世界に、今度は深さを与えていくプロセスが今の自分には必要なんだと強く思うようになった。それがスイスにあるのか、日本にあるのかはまだわからないけれど。藤村氏が当時考えていたことは今の自分の状況に少し近いのかもしれないと思った。

4th IABR ロッテルダム国際建築ビエンナーレ


NAi, main exhibition
4th IABR / ロッテルダム国際建築ビエンナーレのオープニングへ。今回のテーマは「Open City: Design Coexisting」。キュレーターのKees Christiaanse はこのOpen Cityというテーマについてこう答えている。
(…) an Open City is a place where different social groups co-exist, cultural diversity is present, differences in scale are visible, and urban innovation and probably economic development are taking place. When all these factors come together, it can have a positive effect. We can then speak of an Open City.
Open City is not a city; it is a condition of a part of the city. The word ‘condition’ indicates that the situation is finite, that the situation changes owing to other influences. And I’m only talking about parts of the city because it’s an illusion to think that the whole city can be designed as an Open City, or that this can be engineered. Usually for political reasons, every city contains areas that are potentially open, and other areas that will never be open.
- Kees Christiaanse
世界の人口の半分が都市に住む時代。40年後には都市人口は75%にものぼると言われている。都市には異なる人種、バックグラウンドをもった人たちが必然と集まり、彼らの活動が都市を形成していく。これまでの都市のあり方とは、そのようなインフォーマルな活動を規制し、制御しようとするものだった。しかし成熟した都市はすでに成長を止め、アジア、南米、アフリカの成長に寄生することによって、その形態を維持しているにすぎない。もはや都市のほとんどが移民によって構成されようとしている現代の都市は、その異種的、異文化的な活動と共存する都市であるべきではないか、これがOpen Cityの考え方である。
実はこのビエンナーレが成し遂げようとしているの最大の目的は、世界中の建築家、アーバニスト、そしてコミュニティのネットワークを作り上げることなのかもしれない。アジア・南米・アフリカの建築家、コミュニティはすさまじい速度で成長し続ける都市と格闘し、欧米の建築家、研究者も次々と現地に入り込み、都市リサーチやワークショップをおこなっている。そのネットワークを形成し、知識を共有する仕組みが必要とされている。バングラディシュの「マイクロクレジット制度」がすでに世界的に行われるなったように、ひとつの貴重なアイデアを共有することによって、何百万人もの人々が救われるのである。
ビエンナーレの展示自体はただの目次を読んでいるだけにすぎない。その奥には世界の建築家、アーバンデザイナー、研究者、そして現地の住民が、現代の都市がつくりあげる状況と格闘してきた、莫大な知識と、いまだ残された多くの課題が記されているのである。我々はビエンナーレというインターフェースを経由して、奥に広がる情報網にアクセスすることができる。このビエンナーレを起点として今後築かれるであろうネットワークは、今後直面する都市問題を解決するヒントになるに違いない。
Photos below

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Siedlung Halen




 久しぶりに友人を訪ねてベルンへ。前から行きたかったAtelier 5によるSiedlung Halenへ。以前にもAtelier5巡り(以前のエントリーはこちら)をしたことがあるのだけど、彼らの代表作であるこの「ハーレンの集合住宅」だけは行けなかったので、1年半越しにようやく。
 Siedlung Halenは建築年が1961年。斜面をうまく利用した集合住宅として、建築計画の歴史の中でもとても重要な作品に位置づけられている。基本的に傾斜に沿って住戸を配置しているので住戸平面は町家のような短冊形。傾斜の高い方がエントランス(写真1)で、入ってすぐに庭。うまく中間領域として作用している。メインの住戸は2層で、低い方(写真2)の地階に倉庫、屋根の上に屋上庭園。2階から屋上庭園にアプローチできる。住戸単体もそうであるように、集合住宅全体でもヒエラルキーの作り方が非常に上手い。中央のパブリックスペースではちょうどコンサート&バーベキューが開かれていた(写真3)。
 もうすぐ50年にもなろうかという集合住宅だけれど、今でも住みたいと思わせてくれる空間が実現している。現在ではそのデザインは”古い”と扱われるようなったけれど、”良い”デザインという意味では、今でもバリバリの現役。現代の建築家はどちらかというと新しいものを志向しているように見えるけれども、古き良きものから学べることは多くあるはずだ。派手じゃなくても、目立たなくても、そこにいい空間ができあがっている事実が時間を超えて力強く見えた。

FC BASEL



BaselのSt. Jakob-ParkでFC BaselとGrasshopperのゲームを見てきました。
驚いたのは観客席とフィールドの近さ。全く同じレベルで、トラックも無いのでかなり近くで見ることができます。これはいいですね。残念ながら、中田浩二はケガで欠場だったんですが、FCBも勝ったし、十分楽しめました。次はぜひ中田が出場する試合を見に行きたいですね。
一緒に見に行ったkumaは高専時代の後輩で、現在シュトゥットガルトに留学中。あんな田舎の学校にいたのに、5年後にお互いヨーロッパで勉強しているとは、まったく考えられなかったですね。久々にローカルトークもできて満足、満足。
Baselの街ではあちこちに仮設遊園地ができてました。街の一角に、観覧車とか、フリーフォールが出現してるわけです。Zurichにもありましたが、規模が3倍くらいになってました。あそこまでやれるのはスゴいですね。

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サイト更新中です。
しばらくお待ちください。。。

行ってきます!


(写真:ETHZのキャンパス)
というか、無事スイス・チューリッヒに到着しました。
昨日の夕方到着して、お世話になる顧問ロータリアンの方とお会いし、学生寮の方へ送ってもらいました。その日はとりあえず寝ようと決めていたので、久々に10時間ほど睡眠をとりました(気持ちよかったー)。
今日は朝から滞在許可を申請して、銀行口座を開設して、現在は大学で学籍登録をするところです。
出発前日は東京で新潟大学時代の同級生たちから激励してもらいました。それ以外にも、親しい友人、新潟大学意匠研の皆さん、石川高専の皆さん、親戚の皆さん・・・、ホントに、多くの方から激励してもらって勇気が出ました。正直なところ、時々「なんで自分は海外留学の道を選んだんだろう?」って疑問がわいてくることもあるんですが、こっちでの勉強を終えた時には、その答えが見つかっているように精進したいと思います。