Basel: 建築家のサラダボウル


Zürichから1時間程度なのになぜか通過するばかりだったBaselへ。まずはMuseum Tinguelyへ。レンガのテクスチャやスケール感はBottaらしい気がするが、内部はとてもシンプル。そして実はTinguelyの作品に童心をくすぐられ、建築どころじゃなかった。機械的な仕組みと奇妙な動作を取り入れる彼らのアート作品はまさにエンターテイメント性をもったアート。彼らのアートは人々の常識の感性にユーモアを与えてくれる気がした。

続いてFondation Beyelerへ。いつもいい評判ばかり聞いていただけあって、とても洗練された美術館。壁とガラスの組み合わせがなんとも美しい。そしてまたもやEROSの展示に惹かれてしまう。もっと欲望としてのエロスだと思ってたら、本当にストレートな裸体みたいな作品もあった。自分としては身体の曲線であったり、身体の一部を画として切り取ることによって見る人に想像させる表現にエロスとしての共感を覚えた。その結果、実は地下があることを知らず満足して帰ってきてしまった。次回は必ず。

こちらはHerzog&de MeuronによるREHABという療養施設。どこか日本らしさを感じさせるのは気のせいか。これまでの彼らの作品にはない質をもっている。プライベートクリニックのため内部へ入ることはできなかった(実はできたけど自分が怪しく見られた)、印象的なルーバーのような表面のつくり方は、間伐材のような細い木材を組み合わせ、アクリルのような透明のジョイントで連結している。内部には様々なキャラクターをもつ半外部空間が配置されていて、そのあたりに彼ららしさを見ることができる。

REHABの近くにあるスポーツ施設。表層によってMassの表現を際立たせている。遠くからはわかりにくいが、近づいてみると開口部分の表面にはプリントがない。ガラス=窓みたいな考え方ではなく、ガラスをひとつの素材として捉えた時に発想できるアイデアだろう。なるほど。やっぱり実際に見ると良さがわかってくるものだ。

Novartis campusへ。まだ工事中のためは入れなかったが、Diener Diener, SANAA, Peter Märkliのプロジェクトを外から眺める。D Dのカラフルさがとても際立っているが、なかなか気持ち良さそう。外壁の細部のつくり方も奇麗だと思う。それに比べてSANAAのシンプルさ。中に入って比べてみたい。Märkliの作品はほどんど見れなかったが、ファサードに映している文字がかなりデカイ。エントランスから見てちょうどくらいだから、近くに行くともはや照明だったりして。

H&deMの”Institut für Spitalpharmazie”へ。これも表面のガラスに緑色のドットを貼っていて、遠くから見ると緑色の大理石か何かに見える。日本にいた時は、「表面ばかり操作しても内部とは関係ないんでしょ?」とか考えてみたものの、これといい、スポーツ施設といい、来てみると内部との関連も見られたし、ガラスという材料のおもしろさもわかったし、これがスイスかと納得させられようとしている。。。
Baselでは建築ガイドがCHF2で買えるのだが、街を歩けば建築家に当たるくらい、多くの有名なの建築家の名前が見られる。たった人口16万人程度の小さな都市で、こんなに建築家が集められる都市なんて奇跡的。まるで建築家のサラダボウル。かといって表参道みたいにコレクションみたいな感じはしなかった。ブランド性とは少し違うのかも。建築マップが観光マップになってるのがまた日本とは違うところ。日本で建築マップで観光しろっていわれても、きっと全部一緒に見えて飽きられるんでしょう。
夜はバーゼルで働かれているキムラさん、ヒメノさん、ユーイチさんとキムラさん宅でおいしい夕食をいただきながらスイスの事務所について教えてもらう。うーん、現実ってのは厳しい。これはちょっと作戦が必要だ。もちろん、実力をつけることが何よりも重要である事は変わらないのだが、25歳になって時間にも敏感にならなければいけないことに気がついた。ホントにありがとうございました。
memo
“Museum Tinguely”
Architect: Mario Botta, 1994-1996
Address: Paul Sacher-Anlage 1, Basel
Bus 31/36 to Tinguely Museum
“Fondation Beyeler”
Architect: Renzo Piano, 1993-1997
Address: Baselstrasse 101, Basel
Tram 6 to Fondation Beyeler
“REHAB Basel”
Architect: Herzog & de Meuron, 1999-2002
Address: Im Burgfelderhof 40, Basel
“Sportanlage Pfaffenhorz”
Architect: Herzog & de Meuron, 1992-1993
Address: 5, rue de Saint-Exupéry, F-68300 Saint-Lpuis, Basel
Bus 601/602 to Hurst
“Novartis campus Forum 3″
Architect: Diener Diener, 2005
Address: Fablikstrasse, Basel
“Novartis campus WSJ-158, Bürogebäude”
Architect: SANAA, 2005-2006
Address: Fablikstrasse 4, Basel
“Novartis campus WSJ-157, Bürogebäude und Besucherzentrum”
Architect: Peter Märkli, 2004-2006
Address: Fablikstrasse 6, Basel
“Institut für Spitalpharmazie”
Architect: Herzog & de Meuron, 1997-1998
Address: Spitalstrasse 26, Basel

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